先日のニュースでは、NHKが今年の6月に日本認知症学会と日本老年精神医学会に所属する認知症の専門医を対象に行ったアンケートから「認知症の誤診」に関する事実をお伝えしましたが、同調査では抗精神病薬の投与で重篤な副作用が出ていたケースも明らかになっています。

こ のアンケートに回答した専門医531名のうち、実に66パーセントが、認知症の高齢者について、抗精神病薬の投与によって何らかの副作用が発生していたと 回答。抗精神病薬は認知症の徘徊や暴力行為などのBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれる行動や心理症状などを抑制するために使用されることがあります。

2年前に定められた国のガイドラインによれば、抗精神病薬は「基本的には使用しないこと」とされていますが、実際には家族などからの求めに応じて使用される事例もあり、以前から副作用については問 題となっていました。具体的な副作用としては、薬の効き過ぎによって意識が朦朧とする「過鎮静」を挙げる専門医が多く、ひどい場合には寝たきりになったり、食事の摂取ができなくなって胃ろうで栄養摂取という深刻なケースも見られたそうです。

医療経済研究機構が平成22年までの8年間に、 認知症の高齢者約1万5000名を対象に調査したところ、5人に1人に抗精神病薬が処方されていたとのこと。事態を重く受け止めた厚生労働省では抗精神病薬の使用に関するガイドラインを全面的に見直し、副作用に対する注意喚起などを詳しく盛り込む方針を決定。より良い認知症の対応策が求められています。

薬に頼らず、私達のケアの質を上げられるように努めていきたいです。

 

小笠原

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