2月4日、全国で初めて無届けの有料老人ホームの運営会社が警視庁に摘発されました。

2009年3月に発生した群馬県渋川市の火災事件をきっかけに表面化した“無届介護ハウス”ですが、低所得の高齢者の“終の住処”となっていることもあり、難しい社会問題となっています。

今 回、書類送検されたのは、東京都練馬区のマンションで“無届介護ハウス”を運営していた会社。

警視庁発表によれば、昨年2015年7月までの約1年半にわ たって70代から90代の高齢者6名に対して無断で介護サービスを行っていた老人福祉法違反の疑いが持たれているとのこと。

存在自体が発覚したのは一昨年 2014年に入居者の一人がストーブで火傷を負って病院に運ばれた事件から。

そこで練馬区が調べたところ、必要な届け出がされていないばかりか、火災報知 機なども設置されておらず、何か起きた場合に生命の危険がある状況だったとのことです。

老人福祉法の規定では、高齢者を入所させた上で食 事の提供などを行う施設は有料老人ホームにあたり、所在する都道府県へ届け出る義務があります。

厚生労働省が定めた部屋の広さなどの指針を遵守した上、火 災報知機や消防設備などの設置が義務づけられていますが、今回摘発された運営会社の社長は「届け出はさまざまな条件をクリアしなければならず、お金もかか るまで面倒だった」と供述しているそうです。

厚生労働省のリサーチによると、2009年10月末時点における全国の“無届介護ハウス”は 389施設、2014年10月末の最新調査では961施設まで大幅に増加しているとのこと。

これだけ施設数まで判明している一方、摘発や指導などが進まな い現状は、やはり低所得の高齢者の“終の住処”として機能している上、届け出がなくても運営できてしまうというところに尽きるのではないでしょうか。

専門 家からは「認可がなければ運営ができない仕組みづくりとともに、低所得者の受け皿となる新たな施設の在り方を早急に考える必要がある」という意見も上がっ ています。

ますます増えるといわれている“無届介護ハウス”の行方から目が離せません。

小笠原

コメント & トラックバック

No comments yet.

コメントする

最近のコメント

    カテゴリー