川崎市の老人ホームで起こった入所者が被害者となった殺人容疑で、施設職員が逮捕されたニュースが駆け巡り、業界内でも虐待防止に向けた取り組みの必要性 を改めて感じた2月。

厚生労働省では、「高齢者虐待の状況等を踏まえた対応の強化について」の通知を2月中旬に各都道府県に通知し、施設内での虐待防止に 向けた対策を求めています。

この通知は、今年2月5日に発表された平成26年度の虐待の対応状況に関する調査結果を公表し、過去最高の増 加件数が見られたそのわずか10日後には、殺人容疑で事件の起こった老人ホーム元職員が殺人容疑での逮捕となり、世間からの関心が高く、また虐待防止に向 けては早急な対応が必要と認識したことから。

通知では、高齢者虐待の対応をする自治体の相談・通報受付窓口を整備し、事実確認や関係機関との連絡体制を整えること、高齢者虐待の兆候を早期に発見するためにも養介護施設で働く職員などに対する研修に力を入れることなどが求められています。

ま た、万が一虐待が相談・通報されても事実確認を始めるまでに1ヶ月以上の時間がかかっていたケースや第1回目の通報や相談時には情報不足で対策が講じられ なかったケース、相談や通報内容から鑑みて「虐待ではない」と一度判断されたものがその後虐待と判明したケースが多かったことも指摘。

せっかく虐待発見のきっかけがあったとしても、具体的な被害者救済や虐待案件の改善にはつながっていないことも多いと考えられ、対策窓口の対応が、疑いが発生してからの具体的な対応をスピーディーに行うことが大切と通知しています。

厚労省でも今後高齢者虐待の防止に向けた取り組みをより充実させていくための、市町村担当者向けセミナーなどを開催することも予定しているそうですから虐待被害をこれ以上増やさないためにも、相談窓口をしっかりと機能させることに力を入れていくようです。

虐待は絶対あってはならないことである一方で、虐待が起こってしまう背景には介護現場の人手不足や閉鎖的な環境などもあるとされています。

大元を改善しながら、発生時の対応もきちんとする。この両輪で虐待を1件でも減らす道筋を見出していきたいものです。

小笠原

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